R294を北上していくつかの小山と工事現場を過ぎ、カーブを曲がってある程度まとまった集落にさしかかると、左手のほうでおじいさんが斜面から転げ落ちているのが見えた。おだやかな田園風景に音もなく転げ落ちていくおじいさん。かなり唐突でしかも静寂に満ちていて、シュールだ。「ええーっ?」とマスオさんもかくやという叫び声を上げながら近くまで行って車を止めて外へ出ると、おじいさんはもう立ち上がっていた。見ればなかなか急な斜面で、途中までは石を埋め込んだり段差をつくってできた階段があるのだが、そこから下に降りようとしたら木の杭に引っかかって転げ落ちてしまったそうだ。

さいわい落ちたあたりも柔らかい土で、おじいさんにケガはなかった。日々の畑仕事で鍛えられているのだろう、それに身体も柔らかそうだった。服に付いた砂や枯れ葉を払い落としてあげると、どこから来たと問われ茨城からだ、水を汲みに。と答えると、「ああ、丸山の水けえ」。地元にはよく知られる丸山不動の清水である。
柿がたわわに実っている。おそらくおじいさん、薪を集めていたのだろう。冬支度も大詰めだ→ R294を北上し、東に大里小学校を過ぎると県道282号線と交わる十字路があるので、そこを左折。

道なりに進むと右手に広く車を停められるスペースがあり、そこに丸山不動の清水が湧出している(写真は裏手にあたる、二つある湧出口のひとつ。建物は野菜の直売所だそうだ)。山から下っているのだろう、水量は豊富だ。
もうひとつの湧水口は民家のすぐ脇にあり、「湧き水」のロケーションとしては少し見劣りがするような(でも玄関口に自然の湧き水が出てたら便利だろうな~)。味はさっぱり、雑味もなくゴミの混入もない。ごく標準的な湧き水といったところだろうか。おそらく浸透してから短期間で湧出してるのではないか。なお、水質検査の看板が立てられておりセシウムその他の放射性物質は不検出とのこと。

すっかり冬の空だ。道順としては、これから後藤の清水へ向かうところ。方角的にはここから西北西、直線距離にして3、4㌔。
(12.12月訪問)
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