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 那珂市の「軍民坂湧水」といえばネット上に多くの情報が載っているし、知らぬ者はないくらいの湧き水スポットである(そうか?)が、震災以降行ってないので、様子を見に足を運んでみた。
 最近だと映画『テルマエ・ロマエ』の撮影場所として一時期見物人が殺到したという、また数年前には外国人の(以下略)という七ツ洞公園が有名になった。田舎のどん詰まりにほとんど世間から身を隠すようにして存在するあの公園は、以前から不思議なもんだなァとは思ってはいたが、まあそこにある以上そんなもんか、とも思っていた。その七ツ洞公園の北側駐車場への途中に、この軍民坂の湧き水(別名:国田の湧水)はある。
 
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 昭和初期に水戸の旧陸軍が道路整備のために岩壁を爆破し、その時にこの湧き水が出てきたそうな。道路の狭さは当時の整備の名残なのだろう。
 以前この地には湧き水と、「三国の滝」とよばれる落差4メートルほどの滝があった。それが爆破によって失われてしまった(湧き水は別の裂け目からふたたび出てきたということになるけど)。その点に関しては口惜しいものがある。三国の滝、見てみたかった。湧き水(写真中央の左あたり)の坂下には道路整備記念の石碑とか庚申塔とか、三国の滝跡みたいなそんなのが建ってる。

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 では井戸を覗いてみよう。古いコンクリで丸く囲われ、豊富な量の水があふれ出し側溝へと流れ落ちていく。そのコポコポという音が何とも心地良い。
 水質検査の結果が張り出されていた。震災を期にあらためてこの湧き水に注目が集まったのだろう。まあ放射性物質がゼロ(検出限界値以下)なのはいいとして、懸案事項は硝酸化窒素の項だ。
 何しろ上には住宅、畑が広がっている。那珂の台地には本当に湧き水が多いけれど、どれも生活圏に位置しているから、生活廃水や畑の肥料などで水が汚染されていないか、そこは気になるところ。軍民坂の湧水においては「5.4(mg/l)」という値だった。これは個人的には、今まで見てきた中でもかなり高いほうに入る。それでも水質基準法では「10以下」と定められているので、セーフ、飲用可である。他に、pH6.2、硬度は76。大腸菌はもちろん陰性。カドミウム・ヒ素・六価クロム・水銀などの検査項目もあったので、確認していただきたい。
 
 2011年の大震災では、被災後3日目くらいに水を求め、ここに来た。たしか昼前だった気がするが、すごい混雑だった。上で合宿でもしていたのか、どこかの専門学生っぽい子たちがでかいポリバケツに水をいっぱい溜め込んで、二人がかりで抱えて持ち上げていったり、ペットボトルを山ほど持ってきている人もいたりで、30リットルあまりを汲み終えるのに4、50分くらい掛かったような記憶がある。
 今ではすっかり静けさを取り戻し、かすかに水音を立てながら坂の途中に佇んでいる。昔は長い坂の休憩所として重宝されただろう。何か、そういう日本の原風景(つってもそれは大概、昭和なんだが)を思い出させるような素朴な風景を味わえるスポットである。
 
・湧出量…計測困難。井戸の割れ目から湧出しているようなかたちなので、タンクなどには汲みづらい。柄杓のようなものを用意するか、ホースを使うと良いだろう。なんか震災で汲みに来た時に、そこに居合わせた方がホース貸してくれたような気がする。
 前述の通り道路は狭いので、車で訪れた場合には注意が必要。待避所や広いスペースも無いので慎重に道脇に停めることになるが、地元の方の生活道路として交通もそれなりにあるので、邪魔にならないようにしましょう。
 
 
 翁の乗ったトラクターがのんびり坂を下っていく。もう稲を収穫する時季なのだ。
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    2013/09/22(日) 23:07 茨城の湧き水 PERMALINK 御一言(0)
     
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     福島は石川町の「大法清水」を探していてたまたま見つけた湧き水。ネットにもいくつか情報は載っているけれど、なかなかにマイナーではある。
     地名をとって「福田の清水」と名付けられたようで、湧出量はさほどではなく味もいたって普通の湧き水ではあるが、地域の方が大事にされているようで、しっかり整備されている。小ぶりな庭園のようにしつらえられた緑の中に花も植えられてきれいだ。石のベンチもあるので、ドライブの休憩などに最適だと思う。
     場所は特に細かく書かないが、地名を辿っていけば道路沿いにあるので、探し出してみていただきたい。近くには片倉温泉、猫啼温泉、少し北まで足を伸ばせば母畑温泉といった福島県南きっての温泉場があるので、そちらもおすすめ。

     
     湧き水から見える景色。山に囲まれ、里の中に湧き出ているのどかな水場です(水を汲みにめざすというよりも、ドライブの途中に出合いほっとする感じ)。しかし石川町は(隣接する古殿町にまたがって)意外と湧き水多いですね。
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      2013/07/19(金) 19:55 福島の湧き水 PERMALINK 御一言(0)
        
       入道山(686.4m)の麓より湧き出る。

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       「福島県森林環境税」を活用して整備された古殿町の4ケ所の湧き水を紹介してきましたが、その中で個人的にもっとも清涼感のある湧き水であります。ロケーションが素晴らしく、集落からさらに奥まった集落へと向かう細い(舗装されている)道の途中に湧き出ています。その姿は、まさに旅人の渇きを癒やす水場であり、また山里の暮らしを見守る道祖神のようでもあります。湧き出る水もきわめて清冽。
       写真の通り草丈がだいぶ伸びてきておりはじめは見つけづらいですが、直進する道と右からのさらに細い道との合流点にあります。

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       国道349号から北へと、山のほうに入っていく道を適当に探してみてください。途中に看板も立っていたと思うので、ルートは難しくないはず。
       アプローチは容易だが深山の趣たっぷり、緑に囲まれた「入道山の清水」、ぜひおすすめです。

       というわけで、4つの湧き水のうち実用的なのはこの「入道山の清水」と「滝の大清水」ということになる。大雑把な位置関係で言うと、鮫川村からR349を北上し古殿町に入って最初の信号を右に曲がってR349方面なら「入道山の清水」、左に曲がって石川町方面なら「滝の大清水」という感じになる。その時々によってうまく使い分けてほしい。もちろん、両方訪れることに何ら問題は無い。楽しい古殿町・湧き水めぐりを! チャオ
       
        2013/06/29(土) 19:48 福島の湧き水 PERMALINK 御一言(0)
         
         国道349号を古殿町役場方面に向かって東進していくと、右手のセブンイレブンを過ぎてちょっと行ったあたりに「大網遺跡」だか「大網庵」だかの入口と書かれた看板が見えるので、そこの細い道を左に入っていく。畑に囲まれた道を少し行くと上り坂になり、左手に「大網庵」が現れる。そこに「大網庵の清水」がある。
         
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         んー・・・しかし水はほとんど流れていない! わずかに一本の筋がツツ…と落ちているだけ。これではどうにも評価しがたい。湧き水としては☆1個しかあげられません。矢野山の東麓にあたり、昔は豊富な水が山を下るように湧出していたのかもしれないが、今はほぼ枯れてしまっているということなのだろう。

         この「大網庵の清水」がある大網庵、茅葺き屋根のなかなか立派な建物である。敷地もしっかり整備されていて、下には池や、池にいたる斜面、また軒先にもハギなどでちょっとした庭園が造られている。
        063.jpg どれどれどんな感じになっているのかな、と近くまで寄ろうとしたら、ブン・・・とあの糞忌々しいスズメバチが現れたので、瞬時に気持ちが萎え、湧き水が不振だったこともあり早々に退散した。大網庵については地元住民の集会の場としてだけでなく一般に貸し出されている(シャワー・バスタブも完備とのこと)ので、興味のある方は古殿町のHP→http://www.town.furudono.fukushima.jp/node/488を参照されたし。

         ではまた。ごきげんよう。
          2013/06/25(火) 01:01 福島の湧き水 PERMALINK 御一言(0)
            
           「叶神の清水」に続いて向かうのは、「滝の大清水」。滝という字名に湧出し(鎌田地区の、滝ではなく吉田?)、両者は直線距離で1.5㌔ほどしか離れていないので、車なら2、3分。
           西に伸び山へと入っていく県道276号線の一本南の道を、やはり西へと入る。「あと○○○m」という看板も立っているのでわかりやすい。細い坂を上がっていくと、左手の崖、つまり山の北麓から湧出している清水を見つけるだろう。

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           水量はわりと多く、ごみの混入もほとんど無い(ただ雨後は多少あるかもしれない)。味もすっきりしていておいしい。峠道の途中といったロケーションで、道路を挟んだ向かいの高みには墓地があり、北麓ということもあって日差しは届かないが、じめじめというより涼しげで雰囲気は良い。夏に訪れるには最高だろう。
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           岩の間に竹が通され、そこから湧出。整備の際にいくつか岩が置かれたのだろうが、その上にさらに大きな岩塊がでんと鎮座しているので、昔はこの下のあたりからしみ出るように湧いていたのかもしれない。
           

          060.jpg←奥には杉山が広がっている。



           豊かに実った古殿の稲穂。低い電信柱が旅情を誘う。
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            2013/06/24(月) 19:45 福島の湧き水 PERMALINK 御一言(0)
             
             古くよりの歴史を街道や風景に今も残し、ひっそりとした暮らしにも流鏑馬や桜の時期には多くの人が訪れ、ひとときの賑わいが生まれる山あいの町、古殿。山に囲まれていることもあって水源は本当に豊かで、街道から里に一歩足を踏み入れれば豊かな自然が繁茂し、深山の趣すら感じられる。
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             福島県では平成18年から、県内の森林環境を守り維持していくため「森林環境税」が導入された。その中には水源涵養林を維持するという目的も当然あり、古殿町ではこれを利用していくつかの湧き水が整備された。シリーズとして4つの水場を紹介していきたいと思う。
             
             まず今回訪れたのは、古殿町仙石の「叶神の清水」。何やら雰囲気を持った名称であるが(叶神「かのがみ」と読む。集落が叶神という)、それらしきものが見当たらない。道路ぎわのはずなんだけどな・・・と出勤時間の車におびえながらキョロキョロとあたりを探していると、見つけました。道路脇に設けられた貯水槽の奥に、それらしき看板が立っている。
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            ←福島県森林環境税によって整備された水場には、この看板が立っている。この存在の是非は措いといて、これが無ければちょっと見つからないくらい、地味に水は出ていた。

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             写真の上のほうにちょっと見えているのは廃墟となった民家で、その下から出ているのだ。後ろはすぐ山とはいえ、これはちょっと、ウ~ンといった雰囲気だ。貯水槽もあるし昔から水は出ていたのだろうが、ペットボトルで汲もうにも水場があまりにも狭くて、またしばらく整備の手も入っていないようで荒れている。仕方ないので手酌でひと口飲んでみるも、湧出量は決して多くはなく、味もまあ普通の湧き水である。「こんなもんかな・・・」とつぶやき、叶神の清水を後にした。


             「叶神の清水」の脇を走っている県道14号は、いわき市と石川町を結び、「御斉所街道」とよばれ古くから人々に利用されてきた道。古殿町では石川町方面から南北に走り抜けた後、国道349号と合流して東進し、町役場を過ぎてからは山あいの細い谷を東南に向かっていわき市の田人町へと抜ける。
             叶神の清水のあたりは南北に道が通る町の西端で、道の西側には田圃が、東側には集落が急峻な山までの狭い土地に寄り添って並び、今はさびれた風景の静けさに、往時の街道の賑わいを思い起こさせる侘しさが漂う。

             朝霧に包まれる山あいの町、古殿(季節は秋)
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              2013/06/24(月) 15:19 福島の湧き水 PERMALINK 御一言(0)
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